胸部ヘリカルCTの重要性
【なぜ胸部CTが重要なのでしょう?】

現在日本では、年間に約7万人の方たちが肺がんで命を落とされています。
肺がん発症の最大の原因は喫煙です。
世界的に見て日本は喫煙率が高く、特に若年層の喫煙は今後の肺がん増加に拍車を掛けると考えられています。

臓器別のがん死亡数において、男性で第一位、女性で第二位を占める肺がん。
女性の肺がん死亡数が第一位になるのは、そう遠くないと言われています。

恐ろしいことに、男性では40歳代からすべての年代で肺がんが、
がん死亡原因のトップを占めています。(グラフの青い部分)

そんな状況の中で、意外なことに肺がんの発症数は男性で第2位、女性で第5位です。
これは、肺がんは致死率の高いがんであるということを意味します。

● 2005年の死亡数が多い部位は順に

● 2001年の罹患数が多い部位は順に

肺がんでは5年生存率は2割から3割で、
胃がん大腸がんの5年生存率が7割から8割であることを考えると肺がんの治りにくさが際立ちます。

なぜ肺がんは致死率が高いのでしょうか。
がんの治療は、手術によって病巣を切除することが重要です。
抗がん剤、放射線療法でがんを完治させることは困難です。
しかし、肺がんにおいては手術できない場合が多いのです。3人に2人は手術不能とされています。
その原因としては、肺がんの診断がついたときには手術できる時期を過ぎてしまっていることが多いことが挙げられます。
すでに肺内部やリンパ節、さらに骨や肝臓や脳に転移していると手術では切除しきれないのです。
また、多くは喫煙による肺気腫や慢性気管支炎で肺が痛んでいて、手術で肺を切除すると十分に呼吸ができなくなってしまうことも一因です。
胃がん、大腸がんは健康診断によって早期がんの段階で診断できるようになって治癒率は改善傾向になっています。

一方、肺がんはどうかといいますと、
通常の健康診断での胸部レントゲン撮影では完治できるうちに診断することは殆ど不可能なのが現状です。
当院で人間ドックに胸部のヘリカルCTをオプションではなく取り入れているのは、この恐ろしい肺がんを手術して完治できる可能性が高い初期の段階で診断することを目標としているからです。 肺がんの病巣の直径が2p以下で診断できれば治癒率はかなり上昇します。
胸部レントゲンで診断できる直径3p以上では治癒は困難なのです。

これだけ肺がんの発症も増えてくれば、すべての方が肺がんのリスクを考慮しなくてはならないでしょう。
それでは、特にどういう方が肺がんのリスクが高く胸部ヘリカルCTをお受けになるのが望ましいのでしょうか。

約1pの早期肺がんです。胸部レントゲンでは心臓の影になって写らない位置にあります。
見つけにくい肺がんも胸部CTではこのように鮮明に写ってきます。

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